お菊虫

かっぱの楽校　生き物講座12

里山ウオークで、狭山丘陵の野山北公園を歩いていたときのことです。コンクリートの塀にくっついて、ジャコウアゲハのさなぎが冬越しをしていました。ジャコウアゲハというのは、一見クロアゲハのようですが、胴体に紅色の模様がある、なかなかエレガントなアゲハです。

ところで皆さんは、番町（播州）皿屋敷という怪談をご存じですか？　お菊さんが、お皿を1枚2枚・・・・と数えるあのお話です。ジャコウアゲハのさなぎは、なんとこのお菊さんに似ているということで、お菊虫という怖い別名があるのです。

背中の模様をよく見てみましょう。そこには、お菊さんのうらめしそうな顔があります。そして糸で体を固定している姿が、縄でしばられたお菊さんのようだというのです。昔の人は、さなぎがお菊さんの生まれ変わりのように感じたようです。

昆虫の名前は変わったものがよく見られますが、昔の人はユニークな連想をするものです。（ビー永島）